妊娠後期の妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)を防ぐ葉酸の効果

葉酸は、赤ちゃんの成長を助けて神経管閉鎖障害など先天異常のリスクを下げるため、妊娠初期に多く必要であることが知られていますが、実は妊娠後期の体にも葉酸は重要な働きがあります。

そこで今回は、妊娠後期の体に見られる妊娠高血圧症候群に、葉酸がどのように作用するのか、解説します。妊娠高血圧症候群の特徴もご紹介していますので、合わせて参考にしてください。

妊娠後期の母体の特徴

妊娠後期とは、妊娠8か月~10か月の妊娠末期のことをいいます。妊娠後期になると、お腹は大きく重くなり胎児も活発に動くことが特徴です。そして、お母さんの体は大きなお腹が影響して、夜寝苦しくなったり、体を動かすのかしんどくなったりしてきます。

さらに、大きくなった子宮に胃が押しあげられて、思うように食事が取れなくなることや、膀胱が圧迫されて頻尿・尿漏れに悩まされる時期でもあります。

妊娠後期に起こりやすい妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)とは、妊娠後期に約1割の妊婦さんが発症する病気です。妊娠高血圧症候群の代表的な症状は、高血圧、むくみ、めまい、頭痛、吐き気、胃痛などがあります。

妊娠高血圧症候群は、妊婦さんの10人に1人が発症することから、珍しい病気ではありませんが、症状が重症化した場合は、出血が止まらなくなったり、全身にけいれんが起きたりするHELLP症候群(へるぷしょうこうぐん)、赤ちゃんと一緒に胎盤が剥がれる胎盤早期剥離(常位胎盤早期剥離)、などを招き母子の命の関わる危険なケースもあります。

赤ちゃんの成長に欠かせない葉酸には、さまざまな健康効果が期待できます。その効果の一つに胎盤早期剥離の予防にも作用するということをご存じでしょうか...

また、妊娠高血圧症候群は赤ちゃんの健康と成長にも大きく影響して、視覚障害、聴力障害のリスクをともなう低出産産体重児や、子宮内で赤ちゃんが亡くなる子宮内胎児死亡につながることもあります。

妊娠高血圧症候群の原因

妊娠高血圧症候群の原因は、明確になっていない部分もありますが、主に遺伝性の血管障害が胎盤で起こり、高血圧を招くのではないかという説が有力です。血管障害は、胎盤の血管が作られる妊娠初期に遺伝子が原因でエラーが生じ、胎児の成長に必要な栄養と酸素を十分に届けることができなくなります。

その結果、胎児の成長が遅くなることや、母体の血管に負担がかかり、妊娠高血圧症候群を発症すると考えられます。さらに、妊娠高血圧症候群は遺伝の他にも二次的な原因で発症すること考えられており、妊娠高血圧症候群になりやすい妊婦さんには、以下のような特徴があげられます。

高齢出産

35歳以上の高齢出産は、肉体的な機能低下から妊娠高血圧症候群を発症しやすいといわれます。

近年は女性の社会進出と平均的な結婚年齢の高まりから、高齢出産が増えてきました。一般的に高齢出産はリスクが高いといわれますが、具体的にはどのような...

初めての出産(初産婦)

妊娠高血圧症候群は、今回が初めての出産という初産婦さんに多く発症しやすいといわれます。特に家族の中で妊娠高血圧症候群を経験している人がいる場合は、発症率が高まるというデータもあります。

肥満体型

妊娠前の通常時の体型が、BMI値25.0以上の肥満体型の妊婦さんは、心臓に負担がかかり血圧を上昇させて妊娠高血圧症候群を発症するリスクが高くなります。

多胎妊娠

双子や三つ子を妊娠する多胎妊娠の場合は、胎児に栄養と酸素を多く送る必要があるため、心臓にかかる負担も大きくなり血圧が上昇して、妊娠高血圧症候群の発症を招くことにつながります。

ストレスが溜まっている

妊娠中のストレスや疲労が原因で自律神経のバランスが乱れると、血管が収縮された状態が続き、血行不良から妊娠高血圧症候群を引き起こしやすくなります。

妊娠高血圧症候群を経験している

妊娠高血圧症候群は繰り返す傾向があるため、2人目以降の妊娠で、過去に妊娠高血圧症候群を経験したことがある妊婦さんは、発症リスクが高まります。

妊娠高血圧症候群の予防法

妊娠後期に見られる妊娠高血圧症候群の予防には、食生活をはじめとする生活習慣の見直しが大切です。食事は栄養バランスに注意して、タンパク質、ビタミン、ミネラル、炭水化物、葉酸などをしっかり摂るようにしましょう。また、妊娠中の体重増加と高血圧を予防するために、カロリーと塩分の摂り過ぎには注意が必要です。

葉酸は妊娠高血圧症候群から母子を守る

葉酸は、妊娠後期に起こりやすい妊娠高血圧症候群の予防に役立つため、この時期も妊婦さんの体には欠かせない栄養素です。葉酸は血液中に含まれるホモシスティンの代謝を助けることで、血流を改善して血圧を下げることをサポートします。

さらに、葉酸には高血圧の原因の一つである、コレステロール値の上昇を抑える効果もあり、相乗効果で妊娠高血圧症候群を軽減させると考えられています。妊娠高血圧症候群においての葉酸の有効性は、東京大学大学院医学系研究科や名古屋市立大学大学院などで、詳しい研究が進められ注目を集めています。

妊娠後期の葉酸の摂取量

葉酸は、人の体を構成する基礎となるDNAの情報を正しく細胞に伝えて、神経管閉鎖障害のリスクを下げることから、妊娠前から妊娠初期にかけて積極的に摂取することがすすめられています。

妊娠初期は、赤ちゃんの成長のために葉酸がたくさん必要な時期です。この時期は、赤ちゃんの体を形成するための細胞分裂と合成が行われる時期であり、葉酸...

しかし、その後も母子の健康を守る重要な役割があるため、妊娠後期も1日480ugの摂取が推奨されています。妊娠高血圧症候群の予防のためにも、葉酸を摂り入れた生活習慣を送りながら、出産の準備をしていきましょう。

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