妊娠初期に多く摂りたい葉酸の効果と正しい摂取量

妊娠初期は、赤ちゃんの成長のために葉酸がたくさん必要な時期です。この時期は、赤ちゃんの体を形成するための細胞分裂と合成が行われる時期であり、葉酸の働きが欠かせません。

そこで今回は、妊娠初期に妊婦さんが葉酸を摂ることでリスクを下げる、神経管閉鎖障害との関係を詳しく解説します。正しく葉酸を摂るための注意点もご紹介していますので、参考にしてください。

妊娠初期の母体の特徴

妊娠初期とは、主に妊娠2か月~4か月の妊娠が判明される時期をいいます。妊娠1か月の段階では、妊娠が明らかになることは少なく、子宮の中は妊娠をしていない状態と変わらないため、妊娠初期に含まれていません。

妊娠2か月は、胚芽期と呼ばれて脳や臓器の形成が進む器官形成期であり、病院の検査で胎児を覆う袋の胎嚢(たいのう)が確認できるようになり、妊娠が判明します。妊娠3か月を迎えると、胚芽から胎児に呼び名が変わり、妊娠4か月には胎盤も完成して、母体と胎児がへその緒がつながり、つわりなどの体調不良も治まってきます。

妊娠初期の体に必要な葉酸の約割

葉酸は受精卵が細胞分裂と成熟を始めたときから深く関わっており、活性酸素の影響で細胞の成長にエラーが生じたとき、細胞の修復を行う酵素をサポートする補酵素として働いています。

妊娠初期に特に多くの葉酸が必要とされるのは、この時期は胎児の脳や脊髄が形成されるため、細胞に正しく遺伝子の情報が伝えて正常に細胞の分裂と成熟を行うために、葉酸は欠かせないからです。妊娠初期に葉酸を多く摂ることは、脳や脊髄が正常に形成されることをサポートして、胎児に神経管閉鎖障害などが起こるリスクを減少する役割があります。

葉酸不足でリスクが高まる神経管閉鎖障害とは?

神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄が形成される前の、細胞の集まりである神経管の一部が塞がってしまい、脳と脊髄が正しく成長できなくなる病気です。神経管閉鎖障害は、神経管に障害が発生した部分によって、二分脊椎症と無脳症があります。それぞれの病気の特徴は、以下になります。

二分脊椎症

二分脊椎症とは、神経管の下部が塞がることで発症する先天異常です。二分脊椎症は、神経管が塞がったことで、本来は脊髄の管に入っている脊髄が脊柱の外に出てしまい、癒着や損傷を起こしてさまざまな神経障害を発症します。

代表的な症状は、運動麻痺が原因の歩行障害、足の変形、痛みや暑さを感じない感覚麻痺、おしっこやうんちの排泄をコントロールできない膀胱障害、直腸障害などです。また、二分脊椎症のタイプによっては、成人になってから性機能障害が現れることもあります。

二分脊椎症は羊水検査や超音波検査で出産前に判明することが多く、出産前の検査で診断できなかった場合でも、誕生後の赤ちゃんの外見でほとんどが診断できます。日本での二分脊椎症の発祥確率は、1万人に5人前後といわれています。

先天性奇形とは、赤ちゃんの体の一部が正常に成長できなかったことで起こる身体的な異常です。先天性奇形は、体が形成される妊娠初期の発達が大きく影響し...

無脳症

無脳症は、神経管の上部が塞がることで発症する先天異常です。無脳症は脳が正常に作られず大脳や小脳の欠損や退化した状態になります。脳以外の器官は発達が進むため、一見すると通常の胎児同様の成長が見られることも多いですが、上唇が割れる口唇口蓋裂や眼球が突出・欠落することもあります。

無脳症は妊娠14週ころになると、超音波検査で判明することができます。しかし、残念ながら流産や死産になる確率が高く、出産できた場合でも脳が形成されていないため、植物状態に似た無意識の状態が続くといわれます。

妊婦さんが妊娠初期に葉酸を摂ると、神経管閉鎖障害のリスクが下げられることをご存じでしょうか?妊娠初期に多くの葉酸が必要になるのは、胎児の体が形成...

神経管閉鎖障害の原因

二分脊椎症や無脳症を含む神経管閉鎖障害の原因は、まだ明確になっていない部分がありますが、主に遺伝的要因、環境的要因、生活習慣、持病、葉酸不足などが影響していると考えられています。

具体的には、糖尿病、てんかんなどの持病、肥満、妊娠初期の高熱、放射線被ばくなどが原因ともいわれており、その他にはビタミンAの過剰摂取、大量のアルコール摂取喫煙などの生活習慣があげられます。

葉酸の神経管閉鎖障害の予防効果

神経管閉鎖障害は、遺伝による発症確率が約20~30%あるといわれることから、自分の努力だけで完全に防ぐことが難しい病気です。しかし、妊娠前から妊娠初期にかけて葉酸を摂取した場合、神経管閉鎖障害の発症リスクを約70~80%減らすことができるといわれます。

妊娠初期は、胎児の脳や内臓が形成する重要な時期ですので、通常よりも多くの葉酸を必要としますが、体内の葉酸が不足していたり、アルコールの影響で葉酸の吸収と代謝が阻害されると、神経管閉鎖障害の発症リスクが高まります。

妊娠初期に摂りたい葉酸の摂取量

葉酸は通常でも1日に240ugの量を食事から摂取するが推奨されていますが、神経管閉鎖障害の予防のためには、妊娠の1か月前~妊娠3か月までの期間は、食事から摂取する240ugにプラスして、葉酸サプリから400ugを摂取するよう厚生労働省から推奨されています。

食事と葉酸サプリでは、それぞれを体への吸収率が違うため、より効率的に葉酸を体内に摂り込み、胎児の成長をサポートすることができます。ただし、葉酸の摂取量は1日の1,000ug(1mg)に上限が定められていますので、過剰摂取の副作用には注意して、正しい知識で葉酸の効果を活かしましょう。

葉酸は妊婦さんと赤ちゃんの健康には欠かせない栄養素です。そのため、妊娠初期は通常よりも多く摂取することが理想的といわれますが、過剰摂取になると体...

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