不妊治療において、排卵誘発剤のクロミッドを使用することがあります。クロミッドを服用することで排卵日が予測できると、タイミング法で妊娠の確率を上げることが期待できます。
そこで今回は、クロミッドの効果と使い方について、まとめてみました。服用をする際の注意点もご紹介していますので、ぜひチェックしてください。
Contents
クロミッドとはどんなもの?
排卵誘発剤のクロミッドとは、排卵を促すことでタイミング法による妊娠の確率を上げる飲み薬のことです。クロミッドは、排卵が正常に起こらない排卵障害や、排卵はあってもタイミング法による妊娠の確率を上げたいときに利用されることが多く、排卵誘発法と呼ばれて不妊治療で使用されることがたびたびあります。
排卵誘発法の中でも、クロミッドは費用の負担が比較的小さいことから、原因が特定されていない初期の不妊治療として使用されることが多いです。
クロミッドの使い方と排卵を促すメカニズム
クロミッドは、クロミフェンクエン酸塩を主成分とする排卵誘発剤です。使用方法は、生理開始後3~5日目あたりから1日1~3錠の服用を5日間続けます。体内にとり込んだクロミフェンは、女性ホルモンの量をコントロールする脳の視床下部に作用して、黄体化ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌を促します。
その結果、卵胞の成長が促進されることとなり、クロミッドを服用した最終日から5~10日ほどで排卵が起こるといわれます。
クロミッドの使用量と期間
クロミッドを服用する量は、病院での診断をもとに決まるため、個人差があります。投与量が決まると3~4サイクル服用を続けることになり、クロミッドを服用後の排卵日前後に性交を行うことで、多くは4サイクル内に妊娠に至るとされます。もしも、期間内に妊娠できなかった場合は、他の治療方法を検討することになります。
クロミッド使用後の排卵日を知る方法
クロミッドを使用した後は、排卵日を正しく予測することが重要です。排卵日を知る方法には、基礎体温を毎日記録してグラフの変化から排卵日を知る方法や、排卵検査薬を使って尿に含まれる黄体化ホルモン(LH)を感知する方法があります。その他には、病院で卵胞の大きさを直接調べる、超音波卵胞計測で排卵日を予測することもできます。
排卵後の卵子の寿命は約24時間と精子の寿命が約2~3日であることに比べて非常に短いことが特徴です。また、射精直後の精子には受精能力がなく、子宮腔を移動しながら能力を高めていくため、受精可能運動ができる時間は6~8時間といわれています。そのため、クロミッドを使用後に排卵日を予測して、排卵日前から数回の性交を行うことが妊娠のために必要です。
クロミッドで排卵しないこともある
クロミッドを服用することで排卵が起こる割合は、約75~80%といわれています。しかし、早期閉経の場合はクロミッドを使用しても排卵を起こすことが難しいです。早期閉経とは、一般的な閉経年齢が50歳前後のところ、20~30代で閉経が起こることをいいます。クロミッドは長期間にわたり排卵が起きていない重度の排卵障害には効果が現れないことがあります。
早期閉経の場合はクロミッドよりも強力な「ゴナドトロピン(hMG-hCG)療法」を検討することになります。ただし、ゴナドトロピン療法は他の方法と比べて強い排卵作用が期待できますが、その反面、卵巣が腫れたり腹水が溜まったりする「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」などの副作用が起こることもあるため、医師とよく相談したうえで実施する必要があります。
クロミッドを使うときの注意点
クロミッドは、脳の視床下部に働きかけ性腺刺激ホルモンを分泌させることで排卵を促すことができる排卵誘発剤です。このクロミッドを服用することで、体に現れる薬の影響を知っておくことも大切です。クロミッドの使用には、次のような注意点があります。
1.卵巣過剰刺激症候群を発症することがある
クロミッドを服用した場合、1%未満の割合で卵巣過剰刺激症候群を発症することがあるといわれます。卵巣過剰刺激症候群が起こると、お腹の張り、嘔吐、吐き気などの症状が出ることがあります。
2.双子の生まれる確率が上がる
クロミッドを使った排卵誘発法での排卵確率は約75~80%であり、そこから妊娠に至るのは約40~50%の確率といわれています。その内の約5%は、同時に2人以上の子供を妊娠する多胎妊娠で、ほとんどが双子だったというデータがあります。このことからクロミッドを服用すると、双子が生まれる確率が高くなると考えられています。
3.副作用が起こることもある
クロミッドによる副作用は、ほとんど現れない人もいれば、複数の症状が出ることもあるなど、個人差があります。まれに起こる体調不良には、次のようなものが報告されています。
- 頭痛
- 吐き気
- 食欲不振
- 疲労感
- 尿量の増加
- 口が渇く
- 目のかすみ
- 虚血性視神経症
- 情緒不安定
クロミッドを飲んでこれらの症状が現れた場合は、すみやかに医師に相談しましょう。
排卵誘発剤クロミッドの使用は周囲の協力が大切
クロミッドは比較的体への負担が少ない排卵誘発法ですが、副作用など体への影響を理解して使用することが大切です。また、クロミッドを服用することで排卵を促すことはできますが、妊娠の確率を高めるためには排卵日を正しく予測して性交を行うことが大切です。
そのためには、薬の服用と同時に基礎体温をつけるなど、日々の体調管理も必要になっています。不妊治療は一人で無理をせず医師やパートナーと相談しながら取り組んでいきましょう。
参考:不妊治療はどんな方法があるの?不妊検査と治療法について